こんにちは、たにしんです。
みなさんはCBDC(Central Bank Digital Currency)って聞いたことがありますか?
CBDCとは、日本語では「中央銀行デジタル通貨」と訳されます。
私も最近聞いたのですが、どうやら未来では私たちのもつ「現金」もデジタル化される可能性があるようです。
この記事では、CBDCについて、簡単に解説していこうと思います。
こんな人はぜひ最後まで読んでみてください。
□ CBDCについて簡単に理解したい方。
□ 未来のお金の形が気になる方。
□ テクノロジーについて知っておきたい方。
CBDCとは?
CBDCとは、日本語の「中央銀行デジタル通貨」という名の通り、中央銀行が発行するデジタル通貨のことです。
中央銀行はその国を代表する銀行であり、日本でいえば「日本銀行」になります。
よく「日銀」と呼ばれていますね。
アメリカであれば「FRB」、中国であれば「中国人民銀行」になります。
日本では、中央銀行である日本銀行において、一万円券、五千円券、二千円券、千円券の4種類の日本銀行券を発行しています。
私たちのなじみ深い「お札」ですね。
CBDCとは、この実物のお札の他に、デジタル上でお札を発行したもの、ということになります。
いろんなものがデジタル化する時代になりましたね。
そんなCBDCですが、こんな要件があります。
一般に「中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)」とは、次の3つを満たすものであると言われています。(1)デジタル化されていること、(2)円などの法定通貨建てであること、(3)中央銀行の債務として発行されること。
引用元:日本銀行HPより.
簡単にいうと、日本銀行などの中央銀行が、円などの法定通貨をデジタル上で発行したもの、ということになります。
今は財布の中にお金を入れていますが、未来ではスマホの中に「現金」を入れるようになっているかもしれません。
CBDCと暗号資産の違い
デジタル上の通貨と聞いて、ビットコインなどの暗号資産を思い浮かべた方もいるのではないでしょうか?
現に、CBDC自体が、暗号資産に触発されて生まれたという情報もあります。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
しかし、CBDCと暗号資産には大きな2つの違いがあります。
1つ目の違いは、CBDCは円などの法定通貨建てであるということ。
つまり、世間一般で通用する法的効力が認められる通貨と同じ扱いになるということです。
法定通貨ではなく、ビットコインなどの暗号資産は、価値の振れ幅が大きく、日々の支払などで通貨として使うにはやや難しい側面がありました。
しかし、CBDCは法定通貨と同等の扱いであるため、暗号資産と比べて日々の支払いなどでも使いやすくなることが予想されます。
2つ目の違いは、CBDCは中央集権型になるだろうということです。
ビットコインなどの暗号資産は、ブロックチェーン技術によって情報が処理され、オープンな分散台帳に記録されていく仕組みです。
しかし、CBDCは中央銀行が発行するものであり、その性質上、オープンな情報として保存するのではなく、限られた管理者が必要になると予想されます。
CBDCと暗号資産の大きな違いはこの2つで、表面上は似ていたとしても、内容に違いがあるということを覚えておきましょう。
CBDCと電子マネーの違い
デジタルで決済に使うものとして、電子マネーがありますが、これもCBDCとは少し違います。
電子マネーは、電子マネーを管理している会社に現金を入金して、その対価として支払いに使える電子マネーという数字を手に入れているに過ぎません。
日本円をデジタル化したCBDCとはちょっと意味合いが違ってきます。
電子マネーは、ある会社の電子マネーに変換してしまえば、その電子マネーが使用できる場所でしか支払いができません。
また、一度電子マネーにしたものを現金化することも簡単ではなく、制約があります。
つまり、法定通貨をそのままデジタル化したCBDCと比べると、電子マネーの方が自由度が小さいということになります。
さらに、支払われた事業者側の視点に立つと、電子マネーの場合は現金化するのに時間がかかります。
そういった点でも、その存在自体が日本円としての価値を持つ、CBDCと電子マネーは違うと言えそうです。
日本でのCBDCについて
CBDCとは、日本では比較的新しい概念であり、まだまだ検証段階といったところです。
しかし、日本でも連絡協議会の設置や実証実験の実施など、すでにCBDCについて動きをみせています。
流れで言うと、2020年10月には日本銀行から「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」が公表されており、2021年には「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」の設置をしています。
ただ、CBDCはまだ新しいものであり、様々な問題も予想され、早急な導入には至りそうにない感じです。
現金を代替するようなデジタル通貨を中央銀行が発行することについては、具体的な検討を行っている国もありますが、民間銀行の預金や資金仲介への影響など検討すべき点も多いことなどから、多くの主要中央銀行は慎重な姿勢を維持しています。日本銀行も、現時点において、そうしたデジタル通貨を発行する計画はありません。
引用元:日本銀行HPより.
日本のスタンスとしては、現状はCBDCの発行について計画はしていないが、今後の技術革新等によって、CBDCに対する社会のニーズが急激に高まる可能性もあるため、準備はしておくといった感じのようです。
この記事を書いている2022年10月時点では、「中央銀行デジタル通貨に関する実証実験「概念実証フェーズ1」結果報告書」までは出ていました。
今後はフェーズ2、パイロット実験へと進んでいくようです。
今後の動向について、意識しておくといいかもしれませんね。
CBDCのメリット・デメリット
CBDCのメリットについては、下記のようなことが挙げられます。
メリット
- 形のある「現金」を持ち歩く必要がなくなる。
- どこにいても「現金」にアクセスしやすくなる。
- 信用のおけるデジタル通貨を利用することができるようになる。
- 通貨の発行や運搬といったことに必要なコストの削減につながる。
まず、メリットとして思い浮かぶのは、お札や小銭といった形のある「現金」を持ち歩く必要がなくなるということ。会計の時に、イチイチ財布からお金を出さなくてよくなるのは便利ですね。
また、デジタル化のメリットですが、今後日本はさらに都市部に人口が集中することが予想されます。そんな中、今以上に過疎地域の銀行支店の廃止なんかは起こってくるでしょう。
そうなってくると、住んでいる地域によっては、現金にアクセスしづらいといった状況が発生してしまいます。
それを解決できる1つの手段としてCBDCが考えられます。
ネット上で、円と同等の価値であるCBDCのやりとりができれば、わざわざ遠くの銀行まで出向く必要がなくなるわけです。
現状、デジタル通貨という位置づけだと、暗号資産などがありますが、やはり円などの法定通貨に比べると信用度は低くなります。CBDCが流通すれば、信用のおけるデジタル通貨を使えるようになるということもメリットになるでしょう。
そして、形のある「現金」がデジタルになることで、通貨を発行したり輸送するためのコスト削減につながります。
日本の貨幣(銀行券)の1年あたりの製造コストは日銀によると約517億円だという。(中略)ボストン・コンサルティング・グループの推計によると、このATMの維持管理費に、現金の運搬にかかる人件費などを加えると、年間2兆円にものぼるといわれる。
引用元:日本政府が現金払いを減らしたい納得のワケ | 家計・貯金 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
このように見ていくと、CBDCには一定のメリットがあると思えますね。
しかし、一方で下記のようなデメリット(課題)も存在します。
デメリット(課題)
- 情報処理のシステムが不十分だと、決済がうまくいかないといった不具合が出る可能性がある。
- スマートフォンなどのデバイスがないと使用することができない。
- 安定した通信環境などのインフラが必要不可欠。
- 停電などの非常事態に脆弱性がある。
- デジタル上のデータになるので、見えないところでセキュリティリスクにさらされる可能性がある。
このように、デメリットというか課題はたくさんあります。
今後、様々な検証を経て、現状は導入の計画がないにしても、導入を見据えたシステムや制度構築をしていくのだと思われます。
すぐにすぐ、現金がなくなることはないと思いますが、徐々にCBDCのようなデジタル通貨も日本社会に浸透していくかもしれませんね。
たにしん的まとめ
様々なものがデジタル化していく中、私たちの使っている通貨もCBDCのようにデジタル化する可能性は大いにあります。
世界各国で、CBDCの実証実験などもされており、中国では実際に「デジタル人民元」を発行したりしています。
こういった、世の中の流れは知っておいて損はないと思います。
今後も、CBDCについてのニュースなどあれば、チェックしていきましょう。
CBDCのまとめ
- CBDC(Central Bank Digital Currency)とは、中央銀行が発行する法定通貨建てのデジタル通貨である。
- CBDCは、暗号資産や電子マネーと似たところはあるが厳密には別物である。
- 日本でCBDCを導入する計画はないが、未来を見据えて日本銀行が実証実験などは実施している。
- CBDCはさまざまなメリット・デメリットがあり、今後も検証が必要なものである。
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